「ふしぎの海のナディア」の思い出
今回はアニメ作品『ふしぎの海のナディア』の思い出について語ります。
序盤は潜水艦に乗り込み海の冒険活劇として始まり、次第に空を駆け巡る空中戦艦が活躍する壮大なアニメでした。恋愛要素や世界を巡る戦いなどの活劇にもあふれいまなおファンの根強い思い出にあふれた名作アニメです。
庵野秀明監督のこのアニメ作品『ふしぎの海のナディア』ですが、いま確認したところ放送開始は1990年4月でした。
このブログは1980年代の文化(というか筆者の個人的思い出)について語るブログなので、厳密に言うと『不思議の海のナディア』は期間対象外なのですが、まあ細かいことはご容赦ください。
庵野秀明監督というと、その後『新世紀エヴァンゲリオン』という世界的大ヒット作品を生み出し実写映画でも『シン・ゴジラ』や『シン・仮面ライダー』で一世を風靡した作品を輩出した方です。
筆者もこの監督の作品が映画上映されたら必ず劇場に足を運んできました。
もちろん最近も『シン・仮面ライダー』を劇場に観に行きましたよ。
その筆者が人生で最初に庵野作品の薫陶を受けたのはこの『ふしぎの海のナディア』でした。
自分の中の「アニメオタク」を呼び覚ました作品
筆者は幼少期から人並みにそこそこアニメを好んで育ってきたのですが、中学1年生のとき「アニメオタク」として目覚めました。
筆者が中学1年生のときの話です(1990年)。
ある日、行きつけの本屋さんでアニメ雑誌「アニメージュ」の表紙を目にしましたが、この表紙でした↓
この表示を見た瞬間、もう心が「ズキューン」という感じで撃ち抜かれましたね。
「なんて異国情緒にあふれた素敵なイラストなんだ!」「なんてエキゾチックで素敵な女のコなんだ!」と一瞬で魅惑されてすぐに本屋さんのレジにアニメージュを持っていきました。
帰ってすぐにこのアニメージュを読み耽り、この表紙になっている『ふしぎの海のナディア』という作品がNHKで毎週放送されていることを知りました。
この1冊のアニメージュがきっかけとなり筆者は『ふしぎの海のナディア』にハマり、その後ジブリ作品を中心としたアニメ作品に傾倒していきました。
当年45歳の筆者はいまでもアニメ作品を好んで観ていますが、最初にきっかけを与えてくれたのは間違いなく『ふしぎの海のナディア』でした。
当時、アニメファンへの世間の風当たりの強さがきつかった
中学生になるとアニメ・漫画からある程度離れていく人も多かったのですが、当時は「中学生になってもアニメに夢中になるなんてどうかしてる」という風潮がありました。
近年アニメ作品『鬼滅の刃』の劇場版が日本映画史上最大のヒットになったり、完全にアニメが文化として市民権を得た現在とは全く状況が違ったわけです。
アニメオタク・漫画オタクが迫害されていた当時から考えるといまの若い方がうらやましいです。
毎月アニメージュをわくわくしながら地元の本屋さんで買い求めていた筆者ですが、あるとき本屋さんでアニメージュを購入しているところをクラスメイトに見られてしまい、翌朝の学校の朝礼で周りに女子生徒などもいる中で「なぁ、アニメ雑誌とか買ってるの?」とニヤニヤしながら訊かれて本当に恥ずかしい思いをしました。
高校でもガンダムファンの友だちがクラスで小ばかにされているシーンもよく見かけました。
そういうこともあり筆者は中学・高校時代はアニメファンだということは極力公言せず隠れて楽しみました。
なんだか本当に不遇な時代でした。
小説やフィルムコミックで補完しました。
筆者は1冊のアニメージュがきっかけで『ふしぎの海のナディア』の視聴が始まったのですが、筆者が『ふしぎの海のナディア』を見始めたのは無人島編あたりからでした。もう作品全体でいえば中盤ですね。
何しろ当時はサブスクなんてものはないので、本編が放送中の『ふしぎの海のナディア』を最初から観ることが事実上不可能でした。
ですのでどうしたかというと、小説やフィルムコミック(アニメを漫画のように再構成した本)で補完しました。
当時こちらのフィルムコミックも買い集めて読みました。
TV視聴できなかった序盤はフィルムコミックや小説版で補完しました。
フィルムコミックの中身はこんな感じ。
映像で観れなかったのが歯がゆかったですが、おかげさまで途中から見てもストーリーについてゆくことができました。
アニメのコマを無理やり漫画にしたので仕方がないのですが、ちょっと臨場感に欠けますね、
当時、『ふしぎの海のナディア』はアニメファンから絶大な人気を誇っていましたので、アニメージュの表紙をよく飾っていました。
毎号、アニメージュを買うとき表紙がどの作品か楽しみでしたが、ナディアが表紙だったときはテンションが高まりました。
雑誌内ではアニメキャラの人気投票もよく行われていました。
観たことがある方はご存じですが、ナディアって子はいまでいうことろのツンデレの極致にいる子です。後半にデレが来ますが中盤まではほぼツンなのですが(いまはそういうキャラは苦手)、当時はなぜか好きでしたね。
『ふしぎの海のナディア』は脇を固めるキャラクターたちも本当に魅力的。
グランディス姐さんもマリーも大好きでした。
最終話付近のエンディングは本当に涙無くしては観れませんでした。
その後、高校生になった筆者は『ふしぎの海のナディア』の原案となったジュール・ヴェルヌ作の古典の名作小説『海底2万里』も読みました。
こちらも知的好奇心と冒険に満ちた素晴らしい小説でした。
振り返ってみると・・・・
いま考えると『ふしぎの海のナディア』は庵野節が全開で本当に面白い作品でした。
若者の甘酸っぱい恋愛もあれば大人のドロドロとした愛憎劇もあり、冒険活劇もあれば『宇宙戦艦ヤマト』をリスペクトした宇宙戦争のようなド派手なメカバトルもあり、見どころいっぱいの一作。
何もかも心を持っていかれた筆者が10代から敬愛する作品です。
この後、庵野秀明監督は『トップをねらえ!』などOVA作品も携わり、1995年TV放送の『新世紀エヴァンゲリオン』でクリエーターとして大躍進するわけですが、筆者45歳になったいまでも『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、『シン・画面ライダー』といった劇場作品でいつも作品を楽しませてもらっています。
ナディアから始まって30年以上も庵野作品を楽しむことになるとは、よもやこのときは考えておりませんでした。