「電車の駅」の思い出 (その2)
電車の駅について思い返すと、現在と80年代は様々な面で現在と違いがありました。
そのうちのひとつとして取り上げたいのがかつて存在した駅の伝言板です。
今はもうあまり見なくなりましたが、以前はこのような伝言板がどの駅の改札を出たところにありまして、待ち合わせなどですれ違ってしまった際に駅の利用者が伝言を残したものです。
■昔は「待ちぼうけ」がよくありました。
今でこそ、国民一人あたり1台持っているといっても過言ではないくらい普及している携帯電話ですが、80年代はそんなもの存在しません。
携帯電話が手軽に手に入る前の時代には「ポケベル」という携帯連絡機器もありましたが、これも一般に普及し始めたのは80年代末期だったかと思います。
かなり困るのが待ち合わせの際の連絡方法です。
例えば、駅で誰かと待ち合わせたときに待ち合わせ時間に遅れてしまう場合、連絡手段がありません。先に来た方は待ち人が遅れることや、どれくらい遅れるかわからずひたすら待ち続けるわけです。
といっても限度があるので、たいていの人は30分~1時間待っていても来なかったら駅の伝言板に「〇月〇日〇時 〇〇さんへ。1時間待っていましたが来ないようなので帰ります」などと書いて帰ってしまっていました。
いまでしたらショートメール(LINEなどのアプリも含む)や直接相手に電話して「〇〇分くらい遅れそうだから適当にお茶してて」と伝えたり、「すまないけど急用ができて行けなくなりました」とか簡単に伝えられるんですけどね。
それができないせいで延々と駅で待ちぼうけをくらうことが当時はよくありました。
当時のヒット曲では「恋人との待ち合わせで待ちぼうけを受けた」といった歌詞がよく出てきた気がします。
■「シティハンター」のXYZを真似た書き込み
今でも根強い人気がある漫画(アニメ)の「シティハンター」ですが、作中で主人公冴羽獠へ依頼人が仕事を依頼するときには駅の掲示板に「XYZ]という暗号を書き込むというシーンがよくありました。
誰でも自由に書き込めるのが駅の伝言板でしたので、「シティハンター」を真似して「XYZ」の書き込みをする人が当時は結構いましたね。
■連絡方法が限られているなりに起きたドラマもありました。
筆者が大学一年生で入学してわりとすぐの頃でしたが、大学でできた友だちと一緒に映画を観にいくことになりました。
とある日曜日に新宿駅の某場所で待ち合わせましたが、待てども待てども相手は来ません。当時筆者はポケベルも持っていませんでしたから、もうひたすら待つしかないわけです。
とりあえず1時間待っても来ないので伝言板に「待ったけど来ないので帰ります」と書いて帰りました。翌週大学で会ったときに本人から「急にサッカーの練習試合に呼ばれて行けなくなってしまった。すまなかった」と言われました。
こういうときの連絡手段も無い当時でしたので当時は「まあしょうがないか」と思いましたが、今だったらたぶん怒ってますね(笑)
また、大学の知人が所属しているサークルで地方に活動に行った際にサークルのグループが途中ではぐれて2分してしまったものの、連絡手段がないので成り行き上別行動になってしまったことがあったそうです。
しかし帰りの東京駅で偶然にこの2グループが再開して喜び合ったという話を聞いたのを覚えています。
こういうことはいつでも連絡が取れる現在では起こりえない出来事ですね。